慣れさす(信頼関係を築く)




ブンタは慣れているとはいえ、手にはまだ乗る事が出来ず、無理に乗せようとするとガブッ!っと噛み付く状態でした。ただ、籠の外から頭を撫でたりは出来ましたので、あとは”根気と頑張りあるのみ”の状態です。
今(2000年7月)では、手を差し伸べればヒョイと乗るまでになりました。身体中どこでも、いくらでも触らせてくれます。これからコバタンを飼おうと考えている方の参考になればと思い、私の経験を書いてみます。もちろん個体差もあるし、鳥さんの種類によっては同じ方法は取れないかもしれません。これはあくまでもコバタンのブンタの場合です。

私の目標は、ブンタを手に乗せる。肩に乗せて歩くことでした。
今では手に乗ることは乗るのですが、籠を開けて止まり木の前に手を出すと乗るまでにはなっていません。籠の上や床ではひょいと手に乗る状態です。肩にも登ろうとしますが、実際にはまだ2,3度しか乗せていません。「鳥さんの位置が飼い主より高くなり、威嚇的になるから乗せないほうがいい」という話もよく聞きますので、肩には意識的に乗せないようにしています。

慣れさせる
1.私が「勘違いしていたかな・・・」と反省しているのは、ブンタを「手に乗せよう!乗せよう!」として、乗せることが目的になっていたことです。
手に乗せようとしたら、先ずじっくりと時間をかけて鳥さんに「決して危害を加えることはないんだよ」ということを分かって貰うことが大事です。そのためには、やはり本やHPに書いてあるように毎朝きちんと世話をしながら、話しかけてやる。また、なるべく時間をかけて撫でてやったり、とにかくかまってあげることです。
そうしているうちに、ブンタのほうから警戒心を取り除いて、黙っていても寄ってくるようになりました。”手に乗せる”ことは最初から出来ることではなくて、徐々に信頼関係ができてたら自然についてくる”結果”なんだということです。私はここが分かっているようで、なかなか理解できていなかったようです。

2.下手に手に乗せようとすると噛むので軍手をつけてみたりもしましたが、この手のオウムは手袋を怖がって、ますます威嚇したりで”百害あって一利なし”です。信頼関係を築く段階で、噛まれても痛くないように手袋をはめるのは明らかに逆効果です。

籠から出す
1.ブンタは籠の扉を開けると、出てきて籠の上によじ登ることは当初からしていました。でも、いくら手を差し出しても決して乗ろうとはしませんでした。これは家に来て2ヶ月たっても一緒でした。下手にブンタの足のツメの下に指を入れて、無理やり手に乗せようなどという行動に出たら、いっきにガブッときます。
それでも籠の上に上がった時は、嬉しそうに狭い籠の上を歩き回ったり、首を振り振り雄叫びをあげたり、ゴチョゴチョ言ったりしていました。身体を触られるのは大好きでなようですから、籠の上であちこち、それこそ隅々まで触って撫でてあげるようにしました。指先で翼の端を持ちあげるようにすると、両翼を広げて「触って触って」という仕草をしますので、脇をゴニョゴニョと撫でてあげます。毎日帰宅後に1時間から1時間半くらいは、籠から出してあげましたが、朝は時間が無いので放鳥はなしです。



棒に乗せる
手には全然乗ってくれません。そこで考えを変えて、まず棒に乗せてみることにしました。止まり木を25cmくらいにしたのを用意しました。最初はその棒を見ただけで警戒してしまって籠の壁を伝って降りて隠れてしまいます。それで、2,3日間は籠の上の端にに棒を置いておくだけにしました。4,5日たったところで、そーっと置いた棒を手に取ってブンタの胸のあたりまで持って行きます。でも、ブンタはうさんくさそうにじっと見つめているだけです。そのうち、嘴でチョコッ・・・チョコッと触れだします。たぶんこれで確認するんですね・・・・・自分が触れて大丈夫なものかどうかを。
新しいおもちゃ、食べ物・・・なんでもそうですが、最初は必ずこの嘴チョコッをやります。手に乗せるときも最初は必ずやりますから、この動きが噛もうとしての動きなのか、”チョコッ”なのかを見極めないといけません。せっかく、鳥さんが「乗ってみようかな・・・?」と考えているのに、人間のほうが「かまれる!」と思って手を引っ込めてしまっては、いつまでたっても乗ってくれません。

毎日根気強く棒を差し出しては引っ込めてを繰り返していると7日目あたりから、やっと棒の先に乗るようになりました。不思議なもので、一度乗ってしまうとあとは簡単です、これまでの警戒心が嘘のようにヒョコヒョコと乗ってきます。でも、まだ決して手には乗りません。
そこで次に考えたのは、ブンタが移動できる範囲を無理やり限定してしまおうということです。つまり、棒に乗せた状態で少しずつ棒を持つ手の位置をブンタがいる方に変えていくのです。嫌でもブンタは手に乗らないといけないようにしてしまう・・・・・・。でも、ブンタはそんな姑息な手段では乗ってくれませんでした。

とにかく手に乗せる
ところが、この問題は偶然にも、あまりにあっけなく解決できました。
家内もブンタを可愛がってくれていましたが、その家内が私とブンタの直前を横切った瞬間にブンタは家内が歩く方向に棒の上を移動したのです。棒から私の指へ、そして手首まで一気に乗ってきます。
あとは、もう簡単です。棒に乗ったときと同じで、一度手に乗ったらあとは簡単に乗ってきます。棒から手に移動したら、すかさず棒は床に置いてしまいます。ただ、手に乗ると言ってもまだ落ち着かない様子で、手の上で盛んに足踏みをしたり、首を上下左右に振って落ち着きません。
安心して乗るようになったのは、一応手に乗るようになって2週間くらい後のことです。
毎晩手の甲に爪あとをつけられては、翌日の晩までに直って、また付けられる。その繰り返しが今でも続いています。手に乗せるには、ツメを切ってあげないといけないようです。
ブンタのツメも1週間前の晩に切りました。家内が大き目のタオルでブンタをすっぽりと覆い、その間に私がニッパでパチリと切りました。切るのはほんの少しで1mmから2mmです。これだけでも、ギュっとつかまれたときの痛さと傷跡が全然違ってきます。タオルで無理やり押さえつけて切るのですから、これまでの信頼関係がいっきに壊れるのではないかと心配して、ずっと切らないでいたのですが、その心配はいらなかったようです。あくまでもブンタの場合ですが、切った直後は逃げようとしたり、威嚇する仕草をみせましたが、「大丈夫! いい子だったねえ・・・ブンタ」といいながら、撫でてやるとすぐ落ち着きました。
口で怒った後などもそうですが、後で「いい子だねえ」と撫でてあげることが非常に大切なようです。”シュン”となっていた固まったようになっていたブンタが途端に元気に動き回ったり、声を出すようになります。

膝に乗せる
手に乗るようになったら、あとは膝だろうが腹の上だろうが簡単に乗ってくれます。

怒る
ところで、朝夕の雄叫びはすごいものがあります。ブンタは”ギャー”とか頭を上下に激しく振りながらの”ギェンギェンギェン!”とか鳴きます。
これは、1分から10分くらい続きます。ただ本にあるように、朝夕に鳴くのは習性のようですから仕方がありません。鳴かせてあげるしかありません。でも、人の姿が見えなくなると「遊んでよ~!」、「戻ってきてよ~」と鳴く、あの”ギャー!ギャー!” は怒ってもいいと思います。最初の頃は、「無視するのが一番」と教科書通り、知らないふりをしていたのですが毎朝毎晩ですから、時には「ちょっと、いいかげんにやめてくれー!」と思うようになります。
そこで私がとった手段は2つあります。一つ目は、すぐに籠のそばに行って「いけない!」と大きな声で怒って、そのままじっと1分くらいブンタの目を睨むやり方です。これは効きます。ブンタは決まり悪そうに目を伏目がちにして、籠につかまったまま嵐が通り過ぎるのを待ちます。暫くしてまた、”ギャー!”とやったら必ず同じように怒ってあげます。そうすると、少なくてもその日は怒られたのが効いているようで、人を呼ぶためには鳴かなくなります。
二つ目は、鳴いたら2,3分間籠に覆いを被せてしまうのです。これも効きます。夜なら、その部屋の明かりを消して真っ暗にして、部屋から出ます。
いずれの方法も、ブンタの場合ですがその後、少しの間は鳴かなくなります。
ただ、ここでも必ず「もうギャーって言ったらだめだよ」とか言いながら「ヨシヨシ!」と撫でてあげます。シュンとしていたブンタが、ここでとたんに元気になります。怒られた、だけど許して貰えたということが、よーく分かっているんでしょうね。
経験豊かな方によっては、「そんな怒り方をしたら絶対にダメ!」と言われるかもしれません。ですから、この方法はあくまでもブンタの場合で参考にとどめてください。

残った課題
ブンタが籠の中にいる状態で、手に乗らせる課題が残っているのですが、これは既に意味をなさないと思っています。こだわることではありません。籠から出れば簡単に手に乗るのですから・・・・。籠の中で、手に乗せても意味はありません。
ブンタの場合、これまでずっと”籠の扉を開ければ、一人で外に出る”というパターンでやってきたわけです。そして、籠の中で手にのせようとするなら必ず扉を開けないといけない。でも、ブンタにしてみれば、”扉が開いた” イコール "一人で外に出る” なわけで手に乗っている暇などないのです。